ほろ苦く、物悲しい。ヨーロッパの香り漂う、素敵なお芝居。
激しく笑わせる部分は無く、コミカルなパワーマイム抑え気味。全体に懐かしく、切ない。初めてピスタチオを見た時その激しさに驚き、笑い転げたけれど、今また違った感動を味あわせてくれた。列車が走るシーン、何気ない夏の湖畔のシーンなどふんだんに現れるマイムが美しい。
途中で役者が入れ替わり、一つの登場人物を何人もの役者で見せる演出に始めは戸惑ったけれど、慣れるとなかなか面白い。ちょっとせわしない気もしたけど。
最初は福岡ゆみこがやっていた少年がラストでは平和堂ミラノに、平和堂ミラノがやっていた年上の少女は遠坂百合子に入れ替わっていた。これって「夏休みが終わって、ちょっとだけ大人になりました」っていう意味かな?
(新宿紀伊國屋ホール)
1998/05/30(taranco)
おもしろい。今井さんの最後の舞台。キャラメルの中では好きな役者さんの一人だったので、芝居を止めてしまうのは惜しい。
菅野さん、久しぶりの沖田総司がぴったり。虫も殺さぬ沖田かな。
(新宿シアターアプル)
1998/04/12(taranco)
劇場の中を十字に横切る舞台。壁も床も白く染め抜かれた中で、血の物語が始まる。
娼婦 七瀬(春野きらら)が転がり込んだのは、彼女の元に通っていた客 紫郎(池田火斗志)の部屋だった。しかし紫郎は心を開かない。その原因が妹 藍水(吉岡扶美子)の死にあることが次第に明らかになる。
初演を見たのは覚えてないくらい昔。やっぱり春野さんが七瀬で、吉岡さんが藍水だった。春野さんはお天気屋の娼婦が妙に似合ってて、吉岡さんは可憐で消え入りそうな少女そのままだった。ただその他の役者さんがちょっと素人っぽくて、全体としては散漫な印象が残った。
今回は選りすぐった役者たちを揃えたというだけあって、芝居を壊してるような人はいません。池田さんは、体格が健康的すぎる以外は迫真の演技。意外だったのは桐野薫さん。何度か風琴工房で見てるし、かわせみ通信舎で見たこともある。でもこんなに素敵に見えたことはなかった。
橙吾(境利朗)がナイフで刺されるシーンだけが好きでない。彼をビッコにしたかったのだろうけれど、唐突な気がする。
ところで性交で感染する血の病と言われればエイズを思い出すのはやむを得ない。末期のエイズはこんなに美しくないけど。エイズで思い出すのは「ボーイズ・オン・ザ・サイド」メアリー・ルイーズ・パーカーが瀕死のエイズ患者を熱演していた。「私を抱いて、そしてキスして」は迫力もないし、エイズ患者の現実を避けるような作り方で嫌いだ。原作は実状を直視していたので、とても残念だった。
舞台で女優が裸になったり胸を見せたりするのは、僕の場合は困る。悪い気はしないんだけど、芝居のことが一瞬頭から消えてしまうので。ついつい見入ってしまうというか。皆さんは冷静に見てられますか?
(渋谷Hall The Air)
1998/03/28(taranco)