WEAKLY TARANCOSTAGE

お芝居の館 1997.08〜1997.12

舞台がもっと気軽に見れたら良いのに。最近予約を取るのがしんどくて。

目次


プロジェクト・ナビ「血と青空」

 ウィルスはなぜ宿主を殺すまで満足しないのか。神はなぜ、自ら作った人間を自らの手で葬るのか。

 1999年6月、地球上に最後に残された天然痘ウィルスが焼却処分された。そして7月、天然痘ウィルスに似た謎のウィルスが広まり始めた。男性に圧倒的に多く発病し、ほぼ間違いなく死に至るその病気が世界を席巻しようとしていたある日、何もかも飲み込んでしまいそうなくらい空が青かったその日の、心を病んだ人たちのための療養所の屋上から物語は始まる。
 医局長の高村(佳梯かこ)は療養所を伝染病治療のために解放することを決めた。キリスト教徒の金田医師(金原祐三子)や看護婦たちは了解するけれど、事務局員の古川(土居辰男)は不安に苛まれていく。宇宙の電波を聞くキリコ(加藤利恵)は屋上で二人の男クロ(黒田啓之)、カズ(小林正和)が運んできた女の死体(咲田とばこ)が、自らの死について語るのを聞いた。牧師(千葉盛広)は二人の男こそ疫病の源だと言うのだが。

 おもしろいけど難しい。細かい所は脚本をあらためて読まないと理解できそうにない。でも読んでみる価値はありそう。青空に浮かぶ赤い虹を見てみたい誘惑にかられます。
(三軒茶屋シアタートラム)

1997/11/15(taranco)

風琴工房「遠い球体」

 風琴工房の新しい世界。シリーズ「縁側芝居]?

 治るあてのない病に冒された妻 雪絵(上田美都)を自宅で看守る夫 哲朗(大塚治)。秋の深まりいく片田舎の古い家で、二人の思いが綴られる。

 風琴工房にしては、新しいスタイル。詩森ろばさんの書くセリフが優しく、じんわりと染みる。今までは傷みを感じさせる芝居が多かったけれど、それとは違う、哀しいけれどうれしい、満たされた切なさを残してくれる。
 風琴工房は病をテーマに一年で六本の芝居を上演中。次回「天辺の夢」は風琴工房旗揚げ準備公演以来の再演。しかもしばらく劇団から離れていた春野きららさんの名前がチラシのトップに出ている。見逃せない。
(阿佐ヶ谷スタジオアルスノーヴァ)

1997/11/15(taranco)

惑星ピスタチオ「WORLD」

 前評判ほどひどくはなかった。不安だったぶん、楽しめたのかも。

 どこかの国の砂漠の道。ジョー(保村大和)はマリー(平和堂ミラノ)を連れて旅している。マリーは自分たちは新婚旅行の途中だと言ってはしゃいでいる。フラワースミス社長の遠藤マキコ(福岡ゆみこ)と副社長 滝来ユミ(遠坂百合子)と社員の曽我チエミ(いちいりえ)は麻薬成分を持った花を密かに日本に輸入している。しかしその花がなかなか手に入らない。生物学者のジョーンズ(佐々木蔵之助)は学会で自説が受け入れられず、傷心のまま旅をしている。彼らがたまたま集った街。その街を狙う宇宙船があった。ピカード艦長(高須浩明)は人類を冷凍すると言い張り、ライカ副艦長(腹筋善之助)はこのまま捕獲すると主張する。

 「えんげきのぺーじ」とかでひどいと噂だったので、正直いって恐かった。土曜夜の公演を見たのだけれど、その日の4時まで幕張メッセで四日間立ちっぱなしの仕事だったので、つまらなければいつでも眠れる自信はあった。でもまあ結局寝ることも無く、無事に芝居のエンディングまで見届けることができた。
今回は席がすごい前の右端だったおかげで、役者の顔はよく見えた。そのぶん全体を見渡すことは到底無理。舞台全体の美しさを楽しむようなシーンが無かったように思うけれど、それは席のせいかもしれない。

****ネタバレ****
 それにしても、ラストの展開が僕には理解できなかった。発音の難しい苦い飲みものって何? ビール? コーヒー? どっちにしても、それを口にすることで何が起きたのだろう。三人の女たちの事故もよくわからないし、人類の滅亡もどうなってしまったのか。これを読んで気が向いた人がいたら、その辺の解釈を教えてください。
(新宿シアターアプル)

1997/10/11(taranco)

風琴工房「ユダの食卓」

 狭い空間の中に篭る、湿っぽい空気に幽かな砂の香り。閉ざされた世界の中で行き場の無い物語が始まる。

 母マリ工(八重樫聖)を慕うあまり、ユダ(境利朗)は高校へ登校することを拒絶し、昼は砂場で過ごし、夜はマリエを愛する生活を送るようになる。ある雨の日、砂場に一人の少女が現れた。シズエ(沢村小春)と名乗る彼女は、ユダのかつてのクラスメートだった。雨降る度に現れるシズエを、いつしかユダは待ちわびるようになる。

 初演とはまったく違う演出。あらゆる救いを拒絶したような、神秘なまでに研ぎ澄まされた世界。いつもは切なく響くセリフも、今回はむしろ恐いくらいだ。果たしてこの先、詩森さんはどんな世界を書いていくのだろうか。それが少しだけ心配だ。
(阿佐ヶ谷スタジオアルスノーヴァ)

1997/09/20(taranco)

エル・カンパニー「守ってあげたい」

 紀伊國屋書店で書籍を物色中に当日券ありの放送。思わず見てしまう。エル・カンパニー初見。

 万吉老人はシナリオライターを目指す娘サクラの将来を気にしたまま、交通事故で天国に来てしまう。彼はサクラの守護霊になることを希望するけれど、それには六人の兄弟裁判官が万吉の人間界での生き方に罪がなかったことを認めなければならない。

 正と悪とか、神とか、そういうものを真正直に取り上げている。しかし思想が浅いのか、ちっとも説得力がない。中途半端な扱い方では、見てるほうがしらけてくる。プロットにまとまりなく、全体に稚拙。最後に突然今井雅之がスポットライトを浴びたりするのには、違和感あり。前説の方がよほどおもしろかった。
(新宿 紀伊國屋劇場)

1997/09/20(taranco)

遊気舎「じゃばら」

 「四割しか席が埋まっていないので助けて」のハガキに余裕で当日券を求めたら、座布団席しか残ってなかった。

 セイフウカイ病院にひそかに伝わる患者がいる。皮膚科医野口(西田政彦)は病院中から疎まれているその患者に興味を持つ。心臓も呼吸もすでに停止し、脳も機能していないにも関わらず、一心にアコーディオンを弾き続ける患者に。ところで、逸田(山本忠)はエレファント・マンを題材に映画を撮っていた。トム・ノーマン(川下大洋)率いる見せもの小屋の物語だ。そこには、なぞの患者と同じ曲を弾くジャバヤン(中平みほ)がいた。遺産相続問題が絡み、彼の映画作りはニシザキ(楠見薫)の妨害にあう。

 狭い空間の遊気社で見なれていたためか、本多劇場の舞台がやけに広く感じる。初演と比べて密度が薄く感じられるのは、劇場のせいか、それとも演出の違いだろうか。乳毛房江(うべん)、羽曳野の伊藤(久保田浩)、イシダトウショウの暗黒舞踏など懐かしい。しかしシモネタやストーリーをブツブツ分断する挿話は以前より少ないようで残念。たしかにすっきりしてはいるけど、なんか物足りない。
 客席から引っ張り出されたヒサチンコさんは、電車で隣に立っていた女性だと思う。もしそうなら彼女も役者のタマゴだ。「25歳までに『演ぶ』で1ページを飾りたい」と言う会話が聞こえたので、よく覚えている。
 ところでヒサチンコという単語を書いてしまったので、検索エンジンで「チンコ」を探すとこのページが引っ掛かるようになるかもしれない。Infoseekさん、GOOさん、よろしくお願いします。
(下北沢本多劇場)

1997/09/06(taranco)

演劇集団キャラメルボックス「嵐になるまで待って」

 二つめの声。それは言葉の中とちょっとした身振りの中に現れる相手へのメッセージだ。

 男じみた声が嫌いなユーリ(岡田さつき)は逆にその声を生かしてみようと、声優のオーディションを受け、合格する。共演は人の気持ちを敏感に読み取る中学生のチカコ(石川寛美)、有名歌手高杉(近江谷太朗)だった。高杉は音楽担当の波多野(岡田達也)が自分の友人を自殺に追いやったと信じていた。二人の口論が波多野の聾唖な姉雪絵(明樹由佳)を巻き込んだとき、ふたつめの声が響く。

 広瀬教授役の細見さんが新鮮。ただしギャグシーンでは西川さんの影が現れてしまう。ガラスで仕切られた奥にやけに立派な庭園があるセットがおもしろい。明樹さんは一言のセリフモ無い演技。二階席からは顔を見分けられず、感劇後にパンフで知るまで、坂口さんだと勘違いしてた。アンケートにもそう書いてしまった。すいません。舞台での手話というと、プロジェクト・ナビのカコさんを思い出してしまう。なんの芝居だったかなあ。

***ネタバレ***
 傘の先で自殺するのはかなり難しそうだ。心臓を突かなければ怪我で済んでしまうだろうし、相手を差すなら体重をかけられるけど、自分の胸では引く力だけだ。ビルから飛び降りてくれた方が自然でよかったな。ありきたりなのが嫌だったのかも知れないけど。

1997/08/30(taranco)
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